ECRイオンビーム装置 (ECR ion beam system) とは?
ECR とは “Electron Cyclotron Resonance” の略であり、プラズマの発生方式を指します。
ECRイオンビーム装置は、ECRプラズマからイオンをビーム状に引き出してサンプルに照射し、エッチングを行う装置です。
エッチングとは、以下のように行われます。
(1) サンプル上にマスクを作製
(2) イオンビームを照射し、露出したサンプル表面を除去
(3) 所望の深さでイオンビームを停止
(4) マスクを除去
図1 エッチングプロセス
プラズマ発生に用いられるガス種は、アルゴン(Ar)に代表される不活性ガスだけでなく、酸素(O2)などの活性ガスも使用可能です。そのため,スパッタエッチングだけでなく、反応性イオンエッチングも可能です (図2)。 また、チャンバーを工夫して弾き出された材料を別のサンプルへ飛ばすことで、スパッタ成膜も可能となります。 さらに、プラズマ室とエッチング室が分かれているため、サンプルやマスクへのダメージを軽減することができます (図3)。
図2 反応性イオンエッチング
図3 ECRイオンビーム装置のチャンバー構造
ECRイオンビーム装置で作製されたパターンは、オプティカルデバイスやバイオデバイス、センサーデバイス、パワーエレクトロニクス、サンプルの表面改質など多種多様な分野に応用されています。